ユカ・ライオンハート(5112番弟子)流の作り方

ステップ1
お題のそれぞれの文字で始まる単語を集めます。手当たり次第でもいいですが、まずは身近なものや好きなものに絞ると続きが考えやすいです。例えばお題の中に『い』があって、自分が動物好きなら『犬』『猪』『イボガエル』『インコ』、食べ物が好きなら『石焼き芋』『炒め物』『イカ飯』などです。

ステップ2
ステップ1で集まった単語、例えば『犬』なら犬から連想する言葉、そして犬が関係する状況を思い描きます。自分の飼い犬の事や、おとぎ話に出てくる犬の動作や気持ちを考えたりするのもいいです。自由な発想で、とにかく柔軟に考えます。ここに作者の個性が出ると思います。そして考えた内容のキーワードをピックアップします。後で肉付けするので、形容詞ではなく動詞や名詞がお勧めです。『ポチ』『お手』『かけ回る』『吠える』『猿と雉』『犬のおまわりさん』など、出来るだけ沢山思い浮かべます。

ステップ3
これまで集めた単語の変換と組み立て作業に入ります。例文として、お題が『お・お・い』で、『犬』と『かけ回る』を使うという事にします。
『犬』を『犬がいた』の五文字にして下五に当てはめます。『かけ回る』は『お』で始まる七文字にするために『追いかけ回す』に変換し、『追いかけ回す 犬がいた』となります。
ちなみに『吠える』なら『大声で吠える』、『お手』は『お手が嫌いな』というふうに肉付けすると『お』の七文字(字余り含む)になります。
※ここで注意したいのは、文字数合わせのために終助詞(~よ ~ね 等)を使わないことです。例えば『大きなね』なら『大型の』と言い換えます。
最後に、犬が追いかけていたら面白い『お』がつく五文字のものを考えます。『お婆さん』だとあまり気持ちのいい作品にならないし、『俺のあと』はインパクトが薄い…『温厚に』は言葉が噛み合わない…といった感じで片っ端から言葉を当てはめていき、絶対犬より強いはずの『狼』に辿り着いたらしめたものです。『狼を 追いかけ回す 犬がいた』となります。
この例では後ろから前へ作り込んでいますが、五・七・五のどの部分から作るかは決まっていません。その時によります。

仕上げ
完成した雅を少し時間を置いて見直すと、言葉の違和感に気付いたり、新しいアイデアが浮かんだりする事があります。先程の句の場合、下五を『犬のポチ』にすると、ポチという可愛い名前から犬の小ささや非力さが強調されて、狼との対比がハッキリするのでより面白いんじゃないかと思いました。
こうして『狼を 追いかけ回す 犬のポチ』という句が完成となります。
ここでは犬の句を例文に使いましたが、『 』の中の単語を入れ換えて考えると、他のお題でも応用が利くのではないかと思います。

以上です。

私の場合、雅は論理的に組み立てるというより一気に閃く感覚なので、実際にはここまで丁寧に考えている訳ではありません。「い…インコ…犬が…追いかけ回す…お…狼だ!」といった感じです。この「…」の間に自分の脳でどういう思考が働いているのかを客観的に分析して、他の人に解りやすい言葉で説明しようとした結果、この形になりました。

料理のレシピが一つではないように、全ての雅をこの思考パターンで作っている訳ではないと思います。でも一つの型としてお役に立てて頂けるなら嬉しいです。


(転載許可 2022年10月9日 執筆者承諾済み)